信州戦争資料センターとは


 「信州戦争資料センター」は、長野県を中心として、明治から昭和30年代付近までの戦時関連資料を幅広く収集、分析、活用し、戦争の実態を後世に伝えることを目的として活動しています。長野市などの有志で運営していますが、何世代にも語り継げるよう、将来的には組織をつくり受け継いでいくことを目指しています。

 年々、戦争を知る人が減っていくように、戦時関連資料もこのままでは散逸してしまうばかり。将来にわたって戦争の実情を伝え続けられるよう、思いを込めた現代表が、2007年9月より戦時資料の収集を開始しました。2017年8月末の段階で4200点余りを収蔵しており、さらに収集活動を続けるとともに、収蔵品の整理、活用に取り組んでいます。その過程で、有志が集まり、信州戦争資料センターを名乗って活動を始めました。ブログもその一環です。

 特に力を入れているのは、当時、銃後と呼ばれた戦時下の庶民の生活を伝える品の発掘です。戦争とは、遠い戦場で兵隊だけが行うものではありません。むしろ、戦争を口実にした政府による強力な国家統制が生活の隅々まで入り込む、その影響がとても大きいのが戦争です。そして、時として国家は国民の自由を縛るため「戦争状態」を作り出します。一方で、戦争の尻馬に乗って経済も動き、利益を稼ぐ勢力もあるのです。戦争とは、国民、特に金や力を持たない庶民に、いつの間にか幅広く重くのしかかるものであることを、残された資料で伝えていきたいと考えています。

 信州戦争資料センターは、日本が歩んできた対外戦争とその時代の庶民の生活を冷静に伝えることで、将来の長野県民、日本国民がどのような歴史を切り開くか、考えるためのお手伝いをしたいと思っています。戦争が一度の戦いに勝てば終わるというような幻想も、根強いものです。ひとたび戦争や戦争状態になってしまえば、それは長期間にわたって幅広く国民にかぶさります。戦争は他人事ではありません。そして、戦争の相手国の庶民も同じように苦しむのです。過去の資料から得られる事実を直視し、そのうえでどのような道を歩むか、一人ひとりに判断していってほしいのです。

 代表が2007年9月25日に購入した当センター最初の収蔵品、長さを切り詰めた木銃。それを小学生だった息子に担わせたとき、そのぴったりくる姿を見て、この子たちに再びこんな姿をさせる世の中にしてはいけない、と強く感じたのが資料収集のなれそめです。一人でも多くの人に、その思いを共有してほしい。そのための努力を惜しまず、貴重な資料を幾世代にも渡って引き継いでいけるようにしていく道筋をつくっていきたい。

 まずは、「戦争ってなんだろう」「今から見るとおかしなことをしていた」「純粋に兵器に対して興味がある」…いろんな思いを持ちつつ、戦争、やりたくない―を基本に交流、研究、発表の場をつくっていきたい。同じ思いを持たれる方とつながりながら、それぞれのテーマを深め、未来をつくっていけるならば最高です。信州戦争資料センターに賛同される方、よろしくお願いいたします。

 活動の内容や代表の考えを、いろんな項目で説明しています。こちらもごらんください。(2018年4月19日更新)

<主張をしないわけ>
<わたしの父の戦争体験―信州戦争資料センターの原点>
<戦時資料の収集話 その1>
<戦時資料の収集話 その2>
<戦時資料の収集話 その3>
<収蔵品の保全作業>
<戦時資料収集10周年を迎えました>
<戦時資料の分析について①―軍人精神注入棒を例に>
<戦時資料の分析について②―戦前の夕刊日付に注意>
<戦時資料の分析について③―後世の財産として貴重な公文書のつづり>
<戦時資料の分析について④―年代特定の苦労>
<初めての2会場での同時開催>
<「世界があこがれる軍備によらぬ国家を建設できる」―主婦之友社長の言葉に思う>
<発売禁止となった小林多喜二の「蟹工船」掲載号が伝える、権力の本質>
<2018年4月18日付朝刊を収蔵する意味>



Posted by 信州戦争資料センター at 22:57 │センター紹介